1925・4・10~11 イタリア・ヴェネツィア―フランス・パリ

4・10

~孝吉の日記~

金。快晴。朝九時の汽車でVeneziaを立つ。
Milano着、午後三時。こゝでModane[*フランスのまち、モダーヌ]廻りの川島さん夫妻[*川島理一郎・エイ]と別れて、自分はSimplon[*イタリア国境に近いスイスの峠]越への列車で帰る。
Lago Maggiore[*マッジョーレ湖]を離れる頃から白雪を戴くAlpsの剱峰があちこちに見へ出す。残雪が解けて至る所cascata[*滝]となって落ちるのが美くしい。川の水は透明で、立木には春の新緑がふいて、行く時に見た景色とは[*より]美くしく見へた。あの直線の力強い鋭い線はAlps特有美を発輝する。Domodossola[*イタリアのまち、ドモドッソラ]のあたり、Simplonのトンネルから日が暮れる。税関も難なく、ほとんど見ずに済んだ。

4・11

~孝吉の日記~

巴里
土。午前八時半、巴里着。途中、フランスの春のcampagne[*田舎]も美くしい。MilletやGogh[*ゴッホ]が描く風景そのまゝだ。

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