1924(大正13)・12・25 パリ

~孝吉の日記~

木曜日。今日はクリスマス。朝からSt. Sulpice[*サン=シュルピス教会]の荘厳な鐘がひびく。
朝は手紙を書く。晝食ちゅうしょくは例のS.Germain[*サンジェルマン大通り]のDuvalですまし、trainでTour Eiffel[*エッフェル塔]へ行く。大きいものである。Trocadéro[*トロカデロ広場]のMusée[*博物館]は今日は閉って居るので、それより初めてのMétro[*地下鉄]でÉtoile[*エトワール広場]で乗り替る。複雑なので一人なら困まるだらうと思ふた。Anvers[*アンヴェール]で下車。Sacré-Cœur[*サクレ・クール]寺に参拝。中々立派な大きなもので、今日はクリスマスで参拝者が混みあう。中には献灯煌々こうこうとして荘厳な讃美歌がひびく。やっとの事で外に出てtaxiでCafé Wepler[*ウェプレール]に茶をのむ。中はまばゆいやうな電気で美くしい。hotelへ一度帰て支那料理へ行く。夜は手紙を書く。

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