1924(大正13)・12・1 コロンボ

~孝吉の日記~

コロンボ
快晴。朝、船長に雲の印度洋を描く。午後二時、コロンボ入港。早速上陸。時間の都合に依り、カンヂー[*キャンディ]行を止める。
本名夫妻と同道、自働車にて市街見物。ポートサイド[*シンガポールあるいはマラッカの誤り]やペナンよりも純印度式の街となる。寺、美術的価値なし。
Museumを見る。Natural history[*自然史]の外にstone antique[*古石造美術品]沢山あり。主に12th cent.[*世紀]のものなれども偉大、荘厳なるものなり。こゝに来て初めて美術品に接せり。
後、Mt. RaviniaのHotelへ走らす。土人の村落を行く事永し。夕日赤く染めて、繁茂せる小川に浴する土人の女あり。神秘なり。村々に美くしい着物を着た女多し。太陽、印度洋に没する頃、Hotelに至る。夕陽の波打ちよする夢の如き景状を望めて、芝草の上のテーブルに茶をのむ。夜の幕が椰子の木の間に下りて去る。夜の村落、椰子の木の間に灯火の漏れて夏景色なり。
コンクリートの堂々とした道路を真直に走る。
エー・ケー・ハシームの宝石屋を訪ねて、Grand Oriental Hotelに晩餐。九時、船に帰る。

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