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1924(大正13)・12・2 コロンボ
未分類~孝吉の日記~晴。朝より上陸。暑し。ハシームより紀念塔、海浜を一人歩く。正午、帰船。午後、又、上陸。Victoria Gardenへ行く。後、町であちこち買物などす。油絵の好材料あれども時間なき為、遺憾。 -
1924(大正13)・12・1 コロンボ
未分類~孝吉の日記~コロンボ快晴。朝、船長に雲の印度洋を描く。午後二時、コロンボ入港。早速上陸。時間の都合に依り、カンヂー[*キャンディ]行を止める。本名夫妻と同道、自働車にて市街見物。ポートサイド[*シンガポールあるいはマラッカの誤り]やペナンよりも純印度式の街となる。寺、美術的価値なし。Museumを見る。Natural history[*自然史]の外にstone antique[*古石造美術品]沢山あり。主に12th cent.[*世紀]のものなれども偉大、荘厳なるものなり。こゝに来て初めて美術品に接せり。後、Mt.... -
1924(大正13)・11・30 インド洋
未分類~孝吉の日記~曇、後、快晴。向風にて船、少々動揺。午後、水泳。日没又美くし。水平線上の怪雲。 -
1924(大正13)年11月29日 インド洋
未分類~孝吉の日記~快晴。南風。海静なり。午後、水泳す。魚飛ぶ。夜、Deckにてダンス会始る。あまり振はず。印度洋の日没の荘厳を発輝す。 -
1924(大正13)・11・28 インド洋
未分類~孝吉の日記~快晴。正午、スマトラ島の北端を過ぎて印度洋を走る。海静かなり。夕焼、西の水平線を染めて雄大。奇雲、逆光にちぎれて飛び、赤雲、沖天にたなびく所、細月かゝる。夜に入りて涼風しきりに至る。ペナンより乗込みし土人(Deck passenger)の蛮歌、夜の静寂を破る。晩餐に果実チーク[*別名「サポジラ」]、パヽイヤ等を食す。午後、水泳す。 -
1924(大正13)・11・27 ペナン
未分類~孝吉の日記~Penang未明、Penang着。午前九時、上陸。晴。自働車にてBotanical Garden、Chinese Temple(一名 極楽寺)、Snake Templeを見物。Botanicalはシンガポールのそれに劣る。Snake Templeは見るべき価値なし。されど、途中の薫香たゞやう椰子の村落を走る。微風涼しく我を忘る。その間、二時間半。10$なり。正午、船に帰る。午後三時、出帆。コロンボに向て進む。天気晴朗。暑し。 -
1924(大正13)・11・26 マラッカ出港
未分類~孝吉の日記~未明、マラッカ出帆。曇。暗雲垂れて小雨至りて又やむ。海、油の如し。夕焼、暗雲、鏡の面うつりて美くし。 -
1924(大正13)・11・25 マラッカ
未分類~孝吉の日記~未明、シンガポール出帆。両岸の景色美はし。マラッカ曇。スマトラとマレー半島の間を走る。午後三時、マラッカ着、上陸。やはり強烈なる色彩、熱帯美を発輝す。古代城門を見、丘上の城趾を見る。景色佳なり。夕に沈みゆく町の河、緑のベールに覆はれたる如し。町暮れて灯火点々、河水にあり。夏なり。横町に入りて印度サラサを買ふ。赤色古雅にして美くし。黒暗のうちにランチ[*上下船に使う小型船]に乗うつり帰船。西洋の若き女等、唱うて情調あり。隅田の川開き納涼舟の如く、ゆらゆらと行く... -
1924(大正13)・11・24 シンガポール
未分類~孝吉の日記~船は一日碇泊。午前、Busにて博物館へ行き見物。珍らしいものあれども大したる事なし。門外にて水彩のスケッチをやる。正午、一度船に帰り、午後又、写生に出る。暑くて閉口。後、自働車で百貨店へ行き、午後五時、Raffles Hotelのダンスを見る。堂々としたHall、美くしい音楽と男女、赤い電光。それは、シンガポール[*という]よりも、もうヨーロッパへ来たやうなり。同汽船客の一独人と共に碩田館旅館にて晩餐。独人、しゃれを云て面白し。自働車にて帰船。シンガポールの一日は印象が深い。晩... -
1924(大正13)・11・23 シンガポール
未分類~孝吉の日記~シンガポール正午、シンガポール上陸。安い自働車を雇って海岸通、植物園、Reservoir[*貯水池]、ゴム園等を走らす。真黒なマレー人とその赤い着物、熱帯植物と別墅の庭園、草花。その熱烈なる色彩は自分の想像以上にて、豊かな自然物、土地は吾々の日本には羨望の至りであった。Raffles Hotelにて茶を飲む。夕方、船に帰る。ハイフェッツ氏下船。石原氏も下船。