~孝吉の日記~
Marseille
未明、船はマルセイユ港に入る。船の人々等に別れを告げて下船。川島氏の通訳のお陰か、税関も大目に見て難なく通過。本名博士夫妻と馬車でHôtel du Louvre et de la Paixに宿す。外のrestaurantで昼食。
それより電車にてMusée[*美術館]へ行く。運悪く休日。
それより又、電車にてNotre Dame de la Garde[*ノートルダム・ド・ラ・ガルド寺院]へascenseur[*昇降機]にて登る。マルセイユの港街を一眸のうちにあつむ。Notre Dameに詣って下り、hotelに帰る。
夜の街を散歩。濃霧立ちこめ寒し。安いrestaurantに入って夕餐。料理がうまい。
偶然、同船客の独逸人Hennecke夫妻に会う。
夜の街は散さくの男女で賑ふ。皆フランス式のハイカラスタイルである。仏国の第一印象は、人が皆好感を以て、柔らかな感情の所有者である事である。
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