1925・2・25~26 ローマ

2・25

~孝吉の日記~

水。快晴。Museo Borghese[*ボルゲーゼ美術館]へ行く[*1]。春晴れで、Villa Borgheseのgiardino[*庭園]が美くしく噴水やstatue[*彫像]ものどかなり。
Museoでは例のTizian[*ティツィアーノ]の愛の神と地の神[*《聖愛と俗愛》と呼ばれている作品]の前で永く立ちどまる。何の理由もなしに美なんだ。好きなである。ベスト[*2]でportico[*柱廊玄関]のstatue二三を写す。午後、又、Andersonへ行く[*3]

【註】
*1 岩田豊雄と一緒に訪ねた2月21日に続いて再訪。
*2 コダック社が1912年に発売して世界的ヒット商品となった小型カメラ「ヴェスト・ポケット・コダック」。採用した画面寸法4センチ×6.5センチの写真フィルムは「ベスト判」と呼ばれるようになった。
*3 3日連続の訪問だった。アンダーソンは歴史遺産の多いローマに本拠を置く上、創業者が元画家で彫像や建築物の陰影、撮影の構図に芸術的センスがあった。老舗ゆえに美術品の複製写真を中心に品揃えも豊富で、選び切れないほど買いたい写真があったに違いない。

2・26

~孝吉の日記~

木。快晴。一人Pinchoの丘[*ピンチョの丘]を散歩する。晴れ渡たイタリーの空、南欧の空の下に思出の深い古都羅馬を眺める。遠くにS.Pietro[*サン・ピエトロ大聖堂]の大きなdomeが見える。Pinchoの丘は美くしい。噴泉、パラペ[*低壁]、statue[*彫像]が樹陰に見える。感無量。
Piazza del Popolo[*ポポロ広場]へ下りて電車でS.Pietroへ行く[*1]。Museo Vaticano[*ヴァティカン美術館]はやはりEgypt、Etruscanのものがよい。Romanのmosaicもよいものがある。
同宿に日本の人三四人見える。

【註】
*1 ヴァティカンに足を運ぶのは、2月20日、22日に続いて3回目だった。ヴァティカン美術館は2度目。

ピンチョの丘から見渡したローマの街。中央遠くにサン・ピエトロ大聖堂が霞んで見える(1925年2月)=撮影・大橋孝吉


ピンチョの丘にあるアンフォラの噴水(孝吉が現地で購入した絵はがきより)

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