2025年2月– date –
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1925・2・28 ローマ
~孝吉の日記~土。雨、後、晴。Museo Laterano[*ラテラノ美術館]へ行く。二度目である。よいstatue[*彫像]、torso[*トルソ。胴体部の彫刻]、などが沢山ある。どう見てもそれは希臘のものである。午後、Thomas Cook[*旅行会社、トーマス・クック]でAssisi[*アッシジ]行の切符を買ふ。Museo Terme[*ローマ国立博物館]へ二度目に行く。やはりよいものが多いので感心。chiostro[*回廊]の庭にならんでゐる中によいものが多い。頭や足がないtorsoなので写真にもうってゐない。このよいものを記憶... -
1925・2・27 イタリア・ティヴォリ
~孝吉の日記~金。雨。朝、曇てゐたが、Tivoli[*ティヴォリ]へ出懸る。Porta S.Lorenzo[*サン・ロレンツォ門=ティブルティーナ門]から軽便と噴水、苔さびて古色美くし。樹陰のbasin[*池]を二枚写生する。雨が降り出す。川へ面して立つTempio della Sibilla[*6]を見る。円形に18のcorinthian[*コリント式の]柱が立ってゐたのだが、今は七八本[*正しくは「十本」]しかない。そのとなりにTempio di Tiburto[*7]のruinがある。周囲の家がよくないし、風景もTempleをよく見せない。あまりよ... -
1925・2・25~26 ローマ
2・25 ~孝吉の日記~水。快晴。Museo Borghese[*ボルゲーゼ美術館]へ行く[*1]。春晴れで、Villa Borgheseのgiardino[*庭園]が美くしく噴水やstatue[*彫像]ものどかなり。Museoでは例のTizian[*ティツィアーノ]の愛の神と地の神[*《聖愛と俗愛》と呼ばれている作品]の前で永く立ちどまる。何の理由もなしに美なんだ。好きな画である。ベスト[*2]でportico[*柱廊玄関]のstatue二三を写す。午後、又、Andersonへ行く[*3]。 【註】*1 岩田豊雄と一緒に訪ねた2月21日に続いて... -
1925・2・23~24 ローマ
2・23 ~孝吉の日記~月。朝、電車でS.Giovanni in Laterano[*サン・ジョヴァンニ・イン・ラテラノ大聖堂]へ行く。寺は大きいが内部はよくない。Museo[*ラテラノ美術館]を見る。彫刻とinscriptions[*碑文]ばかりだ。よいものも沢山あるが、それは皆、希臘彫刻と思はれる。Romanのものにしても初期のものだ。随分感心した。二階に大きなTerme Caracalla[*カラカラ浴場]のモザイックがある。中々よい出来だ。こんなものがあるからRomanも捨てられない。立派なものだ。晝食にRistorante Ulpiaへ行かう... -
1925・2・22 ローマ
~孝吉の日記~日。快晴。午後、時雨。San Pietro[*サン・ピエトロ大聖堂]へ参詣[*1]。世界で最大のéglise[*教会]で、その大きさには圧せられるが、内部装飾の金ぴかの業々しさはお上りだましとより思はれない。早速外に出てしまう。電車でMuseo Capitolino[*カピトリーノ美術館]へ行く。こゝは彫刻ばかりであまりよいものがない。向ひ側のPalazzo dei Conservatori[*コンセルヴァトーリ宮殿美術館]にも彫刻がある。十程よいものがあるが、それは主としてGreekだ。こゝではRomanのものでよいもの... -
1925・2・21 ローマ
~孝吉の日記~土。雨。馬車でGalleria Borghese[*ボルゲーゼ美術館]へ行く。portico[*柱廊玄関]にantique statue[*古代の彫像]が置いてある。torso[*トルソ。胴体部の彫刻]に二三よいものが見られる。中の彫刻はあまり感心しない。画はる。庭 ローマ国立博物館の所蔵品のうち、孝吉が日記で「〇」をつけた《眠れるエリニュス(復讐の女神)》《ルドヴィージのメデューサ》などと呼ばれる作品(孝吉が現地で買った絵はがきから) やはり「〇」を付けた《母なるヴィーナス》(同) 《アンツィオの少女... -
1925・2・20 ローマ
~孝吉の日記~金。晴。早速、午前、Vatican[*ヴァティカン]へ電車で行く。Piazza S.Pietro[*サン・ピエトロ広場]のオベリスクと勢よく水を噴く二つのfontana(噴水)は大きなdoric[*ドーリア]式の円柱の立ちならぶ円形のcolonnades[*列柱]と共に壮観だ。Vaticanの西北の端の入口から入る。大きな宮殿で立派な所もあるが、王[*教皇]の無趣味の豪華が建築をいやなものとしてゐる所が多い。つまらないものを沢山陳の追想をさまたげるが、列柱の上に残された一capital[*柱頭] のdecoration[*装飾... -
1925・2・19 イタリア・ナポリ―ローマ
~孝吉の日記~木。晴後曇。海岸のVilla Nationaleの公園[*1]を散歩。電車でMuseo Nazionale[*2]の一見をする。立派な美術館だ。Romanの彫刻は思た程によくなかった。形は大きくても皆、内精神の抜けたものが多い。よいのはEgypt、Greek、Etruscan[*エトルリア]のものだ。Greek彫刻の中によいtorso[*トルソ。胴体部の彫刻]を見受ける。首はないがVenus[*ヴィーナス]の胴とその衣の美くしさ。Louvre[*ルーヴル美術館]のVenusにまさるとも劣らないと思ふ。それから美くしいよいポンペイのフレス... -
1925・2・18 イタリア・ナポリ、ポンペイ
~孝吉の日記~朝から名高いAntonio[*1]が訪ねて来る。しかし今度は頼まずに勝手にPompeiiへ行く事にする。勿論その方が安いからだ。軽便。辻音楽師のマンドリンとギタの合奏がうまい。Porta di Nola[*ノーラ門]からruin[*遺跡]に入る。家々は中には美くしいfrescoesやdecorationで装られてゐる。男女の像、神話、魚、獣、風景、樹林。すべて、むっくりとした南国の色彩で古色が何ともいへない。庭や泉や階段、バルコン[*バルコニー]、噴水盤、浴場、temple[*神殿]の列柱、などGreeceとRomanの入... -
1925・2・17 イタリア・フィレンツェ―ナポリ
~孝吉の日記~火。雨後晴、にわか雨。Santa Croce[*サンタ・クローチェ聖堂]へ行く。案内屋が何々の墓と説明する。大きい寺だが大分修繕されて居る。ダンテ、マキヤベリ、ロシニ[*ロッシーニ]などの墓がある[*1]。沢山の壁画はGiottoやTaddeo Gaddi[*タッデオ・ガッディ]、Daddi[*ベルナルド・ダッディ]、Giottino[*ジオッティーノ]などのものだ。皆相当よい。が破損が甚だしい。Giotto[*ジオット]のものもある部分は後に手を入れたやうな所もある。がResurrection[*Resurrection of Dru...
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